Ethereum(イーサリアム)は、2020年12月の大型アップデートプロジェクト:セレニティにより、Ethereum(イーサリアム)2.0が開始されました。
Ethereumは、セレニティ以前に、フロンティア、ホームステッド、メトロポリスという3つのアップデートを経ていますが、これらはEthereum1.xと位置づけられています。
Ethereum2.0は、PoSアルゴリズムを採用し、ブロック生成をより効率的に行うことでEthereumのスケーラビリティ問題を解決するために開発されています。
開発は、Phase 0からPhase 2までの4つのフェーズに分かれており、2023年3月現在、Phase 0(Beacon Chain)がリリースされ、Phase 1(Sharding)の開発が進められています。
Phase 0(Beacon Chain)
Phase 0(Beacon Chain)は、Ethereum 2.0の最初のフェーズであり、Ethereum 1.0のブロックチェーンとは別のブロックチェーンであるBeacon Chainが、セレニティにより導入されました。
※Ethereum 1.0ブロックチェーンとの接続は、将来のフェーズで導入される予定です。
Beacon Chainは、PoS(Proof of Stake)アルゴリズムに基づく新しい共有セキュリティモデルを使用しており、Ethereum 2.0の後続フェーズで追加予定の機能に対応可能になっています。
Beacon Chainの特徴
Beacon Chainの導入により、Ethereumのいくつかの問題が解決されることが期待されています。以下はその例です。
- トランザクション処理の向上(Phase 1):Ethereumは、トランザクション処理速度が問題でした。Beacon Chainにより、Phase 1:Shardingが実装され、処理速度が向上する見込みです。
- セキュリティの向上:EthereumのPoW(Proof of Work)は、セキュリティが問題でした。Beacon Chainでは、PoSアルゴリズムに基づく共有セキュリティモデルが採用され、より高いセキュリティを提供する見込みです。
- ネットワーク負荷の軽減:Ethereumは、過剰なトラフィックによるネットワーク過負荷が問題でした。Beacon Chainによる高い処理速度と拡張性により、ネットワーク負荷が軽減される見込みです。
- 環境負荷の軽減:EthereumのPoWによるマイニングは、エネルギー消費量が膨大で、環境に負荷をかけていました。PoSアルゴリズムにより、マイニングに必要なエネルギー消費量が減少し、環境負荷が軽減される見込みです。
Phase 1(Sharding)
Phase 1では、Ethereumのトランザクション処理を向上させるために、Sharding(シャーディング)が導入されます。
Shardingとは、ブロックチェーンを複数の小さなブロックチェーン(Shardチェーン)に分割し、それぞれのShardチェーンごとにトランザクション処理させることを可能にします。
これにより、例えば、あるShardチェーンはDeFi関連トランザクションを、別のShardチェーンはゲーム関連トランザクションを処理といったように、各々が自律的に、異なるトランザクションを処理可能です。
また、これら各Shardチェーンは、ルートチェーンであるBeacon Chainによって管理され、独自の状態を保持し、ネットワーク全体のステートを更新します。
2023年3月時点でPhase1リリース日は未発表ですが、Phase1テストネットは稼働中です。
Phase 2
Phase 2では、Ethereum Virtual Machine (EVM) をShardingされた環境で実行できるようになります。
Phase 2では、Shardingを更に拡張し、各Shard内でのスマートコントラクト実行に対応するため、各Shard内にEVMを実装することが検討されています。これにより、スマートコントラクトの処理を並列化し、全体的な処理速度の向上が期待されます。
また、Phase 2では、各Shard間でのデータ転送をより効率的に行うための通信プロトコル「シャード・チェーン・ビーコン」が導入される予定です。シャード・チェーン・ビーコンは、各Shard間のデータ転送を最適化し、より高速かつ安全なシステムを実現するために必要とされます。
現在、Phase 2の実装に向けて研究や開発が進められていますが、正式リリースの時期は未定です。