ブロックチェーンは、分散型の台帳システムとして、データの改ざんや不正を防ぐことができますが、自己完結的なシステムです。
しかし、ブロックチェーンの可能性を最大限に引き出すには、外部の情報にアクセスする必要があります。
例えるなら、インターネット上にある本やノートのようなもの(ブロックチェーン)に、天気や株価やスポーツの試合結果などの外部情報を加える必要があります。
そこで登場するのがオラクルという仕組みです。
オラクルの概要
オラクルとは、ブロックチェーンの本やノートに外部の情報を書き込む人やコンピューターのことです。オラクルは、信頼できる情報源からデータを取得し、ブロックチェーン上で動く契約(スマートコントラクト)に提供します。
少し、専門的に表現すると、オラクルは、現実世界やオフチェーンとブロックチェーンを繋ぐ橋渡しの役割として、信頼できるデータをブロックチェーン上のスマートコントラクトに提供します。
オラクルに取り込まれているデータ
オラクルにより、スマートコントラクトの契約条件に、以下のようなデータが取り込まれています。
- 金融データ
- イベントデータ
- ビジネスデータ
- IoTデータ
- 社会的データ
- 金融データ:株価、為替レート、商品価格などの市場データをスマートコントラクトに提供します。
- イベントデータ:スポーツの試合結果、天気予報、政治選挙などのイベントの発生や結果をスマートコントラクトに提供します。
- ビジネスデータ:顧客情報、売上情報、在庫情報などのビジネスに関するデータを分析やレポーティングに利用します。
- IoTデータ:センサーや機器から収集されたデータをリアルタイムに処理や分析に利用します。
- 社会的データ:SNSやブログなどから収集されたデータを感情分析やトレンド分析に利用します。
オラクルの種類
オラクルには、分散型オラクルと集権型オラクルが存在し、違いはブロックチェーンと外部のデータやサービスをつなぐ方法にあります。
集権型オラクル
集権型オラクルとは、ブロックチェーンにデータ提供するオラクルが単一のものです。
集権型オラクルのメリットは、データの伝達が高速で安定していることです。
デメリットは、オラクルが単一の団体や人に依存しているため、信頼性やセキュリティが低いことです。
しかし、この方法はオラクルが誤ったデータを提供したり、攻撃されたりする可能性があります。
集権型オラクルの具体例
集権型オラクルの具体例として、以下のようなものがあります。
- 気象庁や証券取引所などの信頼できる第三者機関(TTP: trusted third party)が提供する情報。
- 単一の個人やグループや組織が情報源の正確性を検証してスマートコントラクトに渡す情報。
分散型オラクル
分散型オラクルは、インターネット上の様々な情報を集め、ブロックチェーンと繋げる仕組みです。
DeFiや予測市場などのブロックチェーンアプリケーションに必要な役割を果たしています。
正しい情報を得る仕組み
分散型オラクルでは、データ提供者に報酬や罰則を与えることで、正しい情報を提供するようにしています。
データ提供者は、自らの資金を担保にして情報を提供し、他の提供者たちと同じ情報を提供したら報酬を貰えます。
逆に、誤った情報を提供したら、担保が没収されてしまいます。
分散型オラクルの具体例
分散型オラクルの具体例として、以下のようなものがあります。
- Chainlink:ブロックチェーン内外のデータをスマートコントラクトで扱える分散型オラクルサービスです。例えば、天気や株価などの外部データをブロックチェーン上で利用したり、ブロックチェーン上のデータを外部から利用したりできます。
- DODO:オラクルによって価格が自動的にアップデートされる分散型取引所です。例えば、仮想通貨や合成資産などの取引をブロックチェーン上で行えます。
- Gnosis:予測市場を作成・参加できる分散型プラットフォームです。例えば、選挙やスポーツなどの未来の事象に対して賭けを行えます。